車を購入する際、よく耳にする「残クレ」っていったい何者!?
支払方法のひとつだろうけど、いまさら人に聞けないし、調べてもよく分からない!
今回は、なかなか理解しにくい「残クレ」について分かりやすく解説します。
残クレのメリット・デメリットをはじめ、支払方法によって異なる支払額も紹介。
もちろん、最も重要な「結局どの支払い方法がいいのか?」を伝授します。
知らなければ損しちゃうこと満載なので、新車購入を検討する方はぜひ一読を!
目次
残クレとは?
「残価設定型クレジット」の略で支払方法のひとつです。
車両価格の一部を残価(残存価値)として設定し、それ以外を毎月支払います。
残クレは、月々の支払額が少なくて済むものの、借金=金利が発生します。
一般的な期間は3年です(2・4・5年で設定するケースもあり)。
その3年間に組むクレジットは車両本体の50~60%程度の金額のみ。
残価(月々のクレジットに含まれない分)の設定は車種によって異なります。
当然ながら、人気車種ほど残価設定は高くなります。
ちなみに、人気のない車種の場合は残価設定が20%程度というケースも。
また、3年後の残クレ契約終了時にその車をどうするか?決断しなければなりません。
3年後に選択が待っている
残クレ3年後の選択肢は下記の4つ。
- 新しい車に乗り換える(残価分を最終回支払として充当できる)
- 残価分を現金一括で支払って、引き続き同じ車を利用する
- 残価分に対して再度ローンを組み、金利を払いながら同じ車を利用する
- 車を返却する(残価分を最終回支払として充当できる)
車を手放すことになる「乗り換え」や「返却」の場合は「最終回支払分」を充当可。
※キズや走行距離超過などが原因で残価価値が低い場合は支払いが発生します。
気をつけたいのは、車を乗り続ける場合。
なぜなら、最終回支払分=残価そのものとなり、金額が大きくなるためです。
相場観をお伝えすると・・・
ホンダ・ヴェゼルのシミュレーションでは、36回(3年)の最終回支払額は89万円。
シミュレーション内訳を後ほど紹介するので、参考にしてください。
残クレのデメリット
一見、月々の支払が安く済む魅力的な「残クレ」ですが・・・
デメリットも確認しましょう!
3年後に選択が必要
繰り返しになりますが、3年後の残クレ終了時に、必ず何らかの選択を迫られます。
仮に乗り換えするとして・・・そのときにほしいと思える新車がなかったら?
そのまま車を使いたいけど・・・一括で支払える現金がなかったら?
残価を支払うためにローンを組む手もありますが、そうすると金利が再発生します。
その結果、ローンよりも総支払額が増えることになっては本末転倒です。
「車がなくてもなんとかなる」という環境なら「返却」もありですが・・・
交通機関の問題などで車なしでは生活できない地域の場合、困ってしまいます。
長距離走行NG
また、車両返却時の「月間走行距離」の上限が自動車メーカーごとに決まっています。
休日にちょっとドライブを楽しむ程度なら、あまり気にする必要はありませんが・・・
ホンダの場合は走行距離1,000km以下が上限(1,500kmも選択できるが金額が異なる)。
このように、走行距離超過にはペナルティがあるので注意しましょう。
車両返却時 超過走行料金表
1kmあたりの負担額 | 車種 |
5円 | N-BOX、N-BOX SLASH、N-ONE、N-WGN、S660、N-VAN(+STYLE FUN/+STYLE COOL) |
6円 | フィット、シャトル、フリード、フリード+、ヴェゼル、グレイス |
7円 | ステップ ワゴン、ジェイド、シビック セダン、シビック ハッチバック、シビック TYPE R、CR-V、インサイト |
8円 | オデッセイ、アコード |
10円 | レジェンド、クラリティ PHEV |
参照元:ホンダ公式
1ヶ月あたり20日の走行を想定した場合、1日あたりの走行可能距離の目安は・・・
月間走行距離1,000km÷20日=50kmになります。
なるほど。片道25kmの通勤や、遠方への転勤の可能性がある人は要注意ですね。
カスタマイズ不可
「残クレ」ではカスタマイズできません。
なぜなら、残クレ契約では「自分の車」としてみなされないためです。
あくまでも「返却もありうる自分には所有権のない車」として考えましょう。
カスタマイズで車に個性を出したい人には不向きと言えますね。
残価の査定でマイナス面も
終了時(3年後)には、残価を下回っていないか?を確認します。
当然、残価よりも価値が低いと判断された場合には支払いが生じるケースもあります。
ちなみに、ネッツトヨタ横浜の場合だと8万円相当の内外装減点がボーダーです。
このラインを超過すると「精算支払い」が必要になります。
残クレのメリット
月々の支払いが安い
これこそ、最大のメリットと言えるでしょう。
「ちょっと今年は余裕がないけど・・・3年後なら大丈夫!」という人に最適です。
ただし、予定は未定よろしく、収入の予測はあてになりません。無理は禁物です!
3年ごとに新車乗り換え
同じ車に長く乗らず、数年で新車に乗り換えるつもりなら?
→残クレが持つデメリットは発生しません。
ただし、購入ごとに諸費用が発生するため注意が必要です。
諸費用は車種など条件によって金額が異なるものの、一般的に18万円程度。
目安として、ホンダ・ヴェゼル購入時の諸費用を紹介します。
自動車税(10月登録の場合) | 12,700円 |
自動車取得税 | 33,300円 |
自動車重量税 | 36,900円 |
自賠責保険料(37ヶ月) | 36,780円 |
手続代行費用 | 46,440円 |
預かり法定費用 | 6,000円 |
リサイクル法関連費用 | 11,340円 |
合計 | 183,460円 |
また、3年ごとに買い換えを続けることで、常に月々の支払いに追われます。
一方、通常ローンで購入した場合はどうでしょうか?
当然、ローン終了後に次の車を購入するまでは支払いのない期間が生じます。
キャンペーン時は低金利の場合も
売りたい車や人気車の場合、残クレの特別キャンペーンを行うディーラーがあります。
このような実質年率を下げるキャンペーンを活用するのもひとつの手です。
ホンダの行った下記キャンペーンを参考にしてみましょう。
参照元:ホンダ公式
ホンダでは、2019年9月現在「残クレ実質年率1.9%実施キャンペーン」を開催。
※今回の対象となる車は「シャトル」「フィット」のみ。
このようなお得なキャンペーンをうまく利用すれば・・・
残クレの方が、ディーラーローンよりも安く済むケースも。
「フィット」を例に、価格差をチェックしてみましょう!
残クレ(36回/60回)
36回 | 60回 | ||
実質年率 | 1.90% | 1.90% | |
頭金 | 139,070 | 139,070 | |
初回支払い | 30,777 | 23,734 | |
月々支払い | 28,000 | 19,800 | |
最終回支払い | 529,200 | 370,440 | |
クレジットでの支払総額 | |||
新車乗り換え | 982,777 | 1,172,134 | |
車両返却 | 982,777 | 1,172,134 | |
乗り続ける | 1,511,977 | 1,542,574 |
(単位:円)
ディーラーローン(36回/60回)
36回 | 60回 | ||
実質年率 | 3.50% | 3.50% | |
頭金 | 139,070 | 139,070 | |
初回支払い | 44,082 | 30,503 | |
月々支払い | 42,600 | 26,400 | |
クレジットでの支払総額 | 1,535,082 | 1,588,103 |
(単位:円)
注目すべきは「実質年率」なんです。
3.5%のディーラーローンに対して・・・
キャンペーンを適用した場合の残クレは、わずか1.9%!
やはり、これだけ実質年率に差が出ると・・・
大幅に金利が変わるため、残クレの方が支払総額が低くなります。
ただし、同じ車に乗り続け、残価に対して再度ローンを組む場合は金利分の増額あり。
残クレで買うとしたら?
残クレ(キャンペーンなし)で、車を購入した場合を考えてみましょう。
通常ローンとも比較しながら、人気SUVのホンダ・ヴェゼルでシミュレーションします。
(※車両価格2,039,889円、諸費用は頭金払いとする)
参照元:ホンダ公式
残クレ(36回/60回)
36回 | 60回 | ||
実質年率 | 3.50% | 3.50% | |
頭金 | 183,460 | 183,460 | |
初回支払い | 39,510 | 33,061 | |
月々支払い | 37,200 | 2,710 | |
最終回支払い | 890,134 | 611,967 | |
支払総額(頭金除く) | |||
新車乗り換え | 1,304,310 | 1,662,861 | |
車両返却 | 1,304,310 | 1,662,861 | |
乗り続ける | 2,194,444 | 2,274,828 |
(単位:円)
ディーラーローン(36回/60回)
36回 | 60回 | ||
実質年率 | 3.50% | 3.50% | |
頭金 | 183,460 | 183,460 | |
初回支払い | 62,197 | 37,603 | |
月々支払い | 59,700 | 37,100 | |
支払総額(頭金除く) | 2,151,697 | 2,226,503 |
(単位:円)
現金一括
1回 | ||
実質年率 | - | |
頭金 | 183,460 | |
初回支払い | 2,039,889 | |
月々支払い | 0 | |
支払総額(頭金除く) | 2,039,889 |
(単位:円)
※クレジットの実質年率は、いずれも3.5%で計算しています。
ここで、残クレで「乗り続ける」を選択した場合における最終回支払額に注目!
- 36回払い(3年):約89万円
- 60回払い(6年):約61万円
これを一気に支払うことになり、しかも再ローンがあるなんて・・・
もちろん「返却」や「新車乗り換え」の場合は、残価で充当(=支払相殺)できます。
想像にたやすいですが、参考までに載せた「現金一括払い」が最もお得でしたね。
金利がない分、60回クレジットと比較すると18万円ほどの差額が生じます。
オススメは銀行の自動車ローン
先のシミュレーションでは「残クレ」と「ディーラーローン」を比較しました。
しかし、残念ながらどちらもオススメしたくありません。
「現金一括払い」は最もお得ではあるものの、現実的ではありません。
そんな中、オススメしたいのが銀行など金融機関の「自動車ローン」。
理由は簡単!実質年率がディーラーローンよりも低くなるケースが多いからです。
「実質年率が低い」=「金利が少ない」=「総支払額が安い」わけですね。
インターネットを使えば、最寄りの金融機関の自動車ローンを簡単検索できます。
お住まいの地域や年収などの項目を入力するだけでOK!
参照元:自動車ローン徹底比較
実質年率に注目すると1.25~2.3%という商品もあります。
実質年率の違いは総支払額にどのくらい影響するのか?
借入条件:200万円/36回払いのケースで、3.9%と1.9%の差額を見てみましょう。
借入額 | 200万円 | |
期間 | 3年(36回払い) | |
実質年率 | 3.90% | 1.90% |
月額返済額 | 58,959 | 57,197 |
返済総額 | 2,122,506 | 2,059,103 |
支払利息総額 | 122,506 | 59,103 |
(単位:円)
3年間で63,403円の差は大きい!
※査定に数日かかる場合を考慮して、余裕をもって探しておきましょう。
まとめ
一見ややこしい「残クレ」について、メリットとデメリットをおさらいしましょう。
残クレのメリット
- 月々の支払いが安く済む
- 3年ごとに新車へ乗り換えできる
- 低金利キャンペーンをねらうとお得
残クレのデメリット
- 同じ車に乗り続ける場合、3年後に再度支払いが必要
- 月間1,000km以上走ると追加料金が必要
- 車のカスタマイズ不可
- 3年後に残価査定を受ける必要があり、場合によって追加料金発生
これらを踏まえて「残クレ」をオススメするのは、ズバリ!次のようなケース。
- 3年後に車を買い換える予定
- 現段階でほしい車の残クレ金利が低い
上記2点に当てはまらない場合は、金融機関の「自動車ローン」が一番でしょう。
デザインやボディカラー、オプションなどに頭がいっぱいになってしまう車選び・・・
ぜひ、どのような支払方法が適しているのか?も考慮して、購入してくださいね。